理系研究者のしごとメモ

研究者の仕事や日常の一コマを綴ります。

論理・倫理・心理の3つの評価軸 〜自分や他者を評価するときに〜

私は論理・倫理・心理の3つの軸で自分や他人、集団の能力を評価したり分析したりしています。他人を分析と言うと偉そうですが。論理・倫理・心理の3つの軸で人を分析すると、その人の問題点やいいところが見えやすくなってきます。今回はそれについて書いていこうと思います。

論理

論理は一番わかりやすいので説明不要かもしれません。筋道の通った思考、合理的な考え方のことです。A=B、B=C、ゆえにA=Cのような三段論法も論理です。言い換えれば、答えがあることに対して正確に答えを出す能力、と言えます。知識それ自体も論理として私は考えています。

倫理

これは私なりの定義なのですが、答えがないことに対して答えを追求し続ける能力、が倫理であると考えています。論理とは真逆と言えるでしょう。哲学の有名な問題であるトロッコ問題に答えはありません。しかし、自動運転車が現実的になってきた今、トロッコ問題に真剣に向き合わなければならないのです。絶対的な答えがない中でも落としどころを見つけなければなりません。思考停止にならず問題と向き合うこと、これができる人は倫理の能力が高いと私は考えています。もちろん、ここで言う倫理には一般的に意味する道徳やモラルも含まれます。

心理

心理は自分や相手の感情を理解する能力・動かす能力、と考えています。ドーパミンのような脳内物質で感情の説明はできるかもしれないですし、脳にコンピューターの例えもありますが、心は論理では説明できません(今のところは)。例えば、倫理的に正しいこと(倫理に絶対はありませんが)を論理的に説明することで、全ての人は納得するでしょうか?それができるなら、世界はもっと平和になっていると思います。相手の気持ちを考えて婉曲表現を使うことも時としては必要になるでしょう。相手の感情を読み取る能力は良好な人間関係の礎となります。相手の感情だけでなく、自分の感情の理解・制御も当然重要です。

ここまでのまとめ

  • 論理=答えがあることに対して正確に答えを出す能力
  • 倫理=答えがないことに対して答えを追求し続ける能力
  • 心理=自分や相手の感情を理解する能力・動かす能力

正直なところ、倫理と心理は切り分けが難しいです。心理に関する能力が高くないと、道徳やモラルに関してより良い結論を導くことはできないからです。また、ほぼ全ての言動がこれら3つの能力の組み合わせによって行われています。

具体的な例

パワハラ上司がいたとして、その人はとてもロジカルに部下を攻撃するとします。その人は論理的な能力は高いのでしょうが、倫理や心理に関する能力は明らかに低いでしょう。

勉強は苦手だけど、知らない人に親切だったり、広い心を持っている人、みなさんの周りにもいませんか?そう言う人は論理的な能力は低いかもしれませんが、倫理(の少なくとも一面)や心理の能力は高いと言えます。

職場の人たちから見た私を分析してみると、周りの人たちと比べて、論理的に高い能力を持っているわけではありません。一方で、仕事に対する取り組み方や考え方のような倫理に関係する部分や、内向的性格ゆえに相手の感情を理解したり自分をコントロールしたりする心理的な能力の部分が評価されていると感じています。

私の身の回りにいる人々

私は理系の企業で研究者をしています。そのため、周りの人たちは論理的な能力にとても優れています。ですが、倫理・心理、特に倫理の面では未熟な人が多いと思っています。(パワハラ上司がたくさんいるというわけではないです!)

昔はそれでもうまくいっていたのかも知れません。私は、論理的に優れていることはもはや当たり前で、これからの時代は倫理や心理、人とのつながりや社会的に良いことをしていくことが重要になっていくと考えています。変化の早い時代、地球や周りの人をもっと大切にしなければいけない時勢の中で、利益を生み出さなければならない企業であったとしても、倫理や心理の重要性は日に日に増していくでしょう。

最後に

ここまで読んでお気づきの方も多いかもしれませんが、着想はロゴス・エトス・パトスから得ました。

さて、みなさんの周りの人々はどんな人が多いですか?