理系研究者のしごとメモ

研究者の仕事や日常の一コマを綴ります。

【理系・研究職志望向け】企業の研究職は研究以外にどんな雑用をしているのか?【就職活動・就活】

理系で製造業の研究職を志望している就活生はたくさんいます。どんな研究をしているのか、当然気になるでしょう。

しかし、企業の研究職は研究ばかりをしているわけではありません。そこが企業と大学の研究の違いの一つと言えます。

入社1〜5年目で任されそうな、いわゆる雑用を私の経験とともに紹介しますので、就職活動の参考になりましたら幸いです。

(私が化学系企業に勤めているので、化学系に偏りがちだと思いますが、ご容赦ください)

企業の研究職・研究者が行なっている雑用

メール・チャット・電話のやり取り

営業の方がよく使うイメージがあるかもしれませんが、理系の研究職であってもメールやチャットでのやり取りを頻繁に行います。
研究に関することだけではなく、これから下に書いていくような雑用に関する連絡がたくさん来ます。
ベンチャー企業はチャットが多いのかもしれませんが(偏見ですかね?)、
特に化学系企業は歴史が長い会社が多く、電話は今でもバリバリ現役です。

試薬や汎用品の発注

試薬や物品の管理は若手が任される仕事の筆頭だと思います。(大企業ではそれを専門とするスタッフがいるかもしれませんが)
何がどこにあるかということや、物品の購入状況を把握できるので、捉え方によっては大事な仕事です。

報告書の作成

上司に向けて定期的に研究の進捗の報告書を作成します。
定期的な報告書として、日報、週報、月報、年次報告書といったものがあります。
(この中のどれか一つ以上を行っている企業が多いと思います)
非定期的な報告書として、テーマが完結したときに作成する報告書や会議の議事録(社内や他社との打ち合わせなど)などが存在します。

研究の進捗報告会

報告書に加えて、口頭で報告する定期的な研究の進捗報告会はどの会社でもあるでしょう。
名前は報告会、定例会、検討会、チームミーティングなど、企業によって独自の名前がついているかと思います。
単位は、4〜5人のチームから部長クラスも参加する大規模なものまで様々です。
小さいチームでは週1程度、大規模なものは数ヶ月に1回、という企業が多いのではないでしょうか。
そして、報告会のために資料作成を作成することが大半でしょう。
前述の報告書などの資料作成を如何にスピーディーに行うかが、できる研究者になれるかどうかの分かれ道と言っても過言ではありません。

飲み会の幹事

飲み会の幹事も若手の雑用の代表です。
飲み会をつつがなく運営するには店選び、立地、コースや料理のチョイス、座席、挨拶の順番など気にしなければいけないことが多数あります。
若手が嫌がる仕事の代表でもあるとは思いますが、気遣いを身につける上で重要な要素を多く含んだ雑用です。

安全関係

ヒヤリハット、という言葉をご存知でしょうか?
ヒヤリとした、ハッとした出来事のことをヒヤリハットと言い、特に製造業では常識となっている言葉です。
安全意識を高めるため、ヒヤリハットを定期的に上司に報告しています。
(実際に体験したヒヤリハットが無い時はそのような状況を想定して書きます)

会社は安全に対する意識が大学より格段に高いです。
安全に実験をするために環境が整備されているか、機器にトラブルが起こっていないか、定期的なパトロールを行ったりもします。

上述のヒヤリハットを部署内で共有したり、過去のトラブルを復習したり、といった取り組みも私の会社では行っています。

トラブルが起こった時は実験がストップしたり、緊急会議が行われたりするので、製造業では本当に安全第一です。

勉強会への参加、運営

社内勉強会がある企業も多いと思います。
内容は研究に関する知識の共有から、広いテーマの読書会、英会話など多岐にわたります。
どんな勉強会が存在しているか、というのは企業のカラーが出るところだと思います。

部署外の人との交流ができるという点でも、貴重な機会だと思います。

社内報告会の運営

私が勤めている会社では、年に1度社内の報告会(学会のようなイメージ)を行っています。
この運営が若手の仕事として割り振られています。(かなり面倒でした)

前の勉強会のところでも書きましたが、普段関わらない部署の人との交流は貴重な機会です。

展示会・学会などへの参加

研究活動の一環ですが、展示会や学会への参加もあり得ます。
最新情報をキャッチアップするのも、企業の研究者にとっても重要です。

最後に

何度か書きましたが、雑用の捉え方はとても重要です。
無駄な仕事と捉えるのか、そこに意義を見出すのかによって仕事へのモチベーションが変わってきますし、仕事のクオリティも大きく異なってきます。
個人的な印象ですが、雑用がちゃんとできない人は本業もできない人が多いです。

そして、意外とデスクワークの時間が多い、ということにお気づきでしょうか?
実験の合間を縫って作業をするなど、効率よくデスクワークをこなさなければ実験がうまく進まなくなります。
集中して仕事に取り組むことが学生時代の研究よりも増えることでしょう。

企業によっては独自の取り組みがあります。
就職活動の際に直接聞いてみると話が広がるでしょう。
研究者の本音も垣間見えるかもしれません。

(実は他にも雑用はあるのですが、書けない内容もあるので…)