理系研究者のしごとメモ

研究者の仕事や日常の一コマを綴ります。

大学と企業の研究に違いは何か?

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私はとある化学系企業で研究者をしている。

就職活動の時期になると、先輩社員として説明会のお手伝いに呼び出されることがある。
そこでよくされる質問が

「大学と企業の研究の違いはなんですか?」

である。

私の答えは、

「思考法は何も変わらない。ファクターの数と重み付けが変わる」

である。

つまり、

論理的思考が求められる点は何も変わらない
研究方針や優先順位の決定に関わるファクターの順番が入れ替わっただけ

ということだ。

 

企業の研究では、ビジネス的視点が求められる。

経済や文化、価値観、地域性、トレンド、政治、競合、特許・・・

大学時代と比べると、考えなくてはいけないことは確かに多い。

 

しかし、ただそれだけ、とも言える。

様々な要素を論理的に組み立てて、比較し、優先順位をつけ、やるべきことを決定する。

その点においては何も変わらない。

 

大学のほうが自由、とか、企業には納期がある、という声も聞く。

確かにその通りだが、それは大学の研究では好奇心、企業では時間というファクターが大きい、というだけだ。

大学でも、論文のReviseのために急いでデータが必要になる場合がある。

企業だって、なんか面白そうだからやってみよう、ということがある。
(きっとウチの会社が特殊ではないはずだ)

 

企業に入って、ダイナミックにファクターが変わって戸惑ったが、
論理的に考えて研究をすすめる、という点については何も変わらなかった。

 

論理的思考は研究の基礎となる能力。
大学生や大学院生、若手の社会人が研究や仕事の論理的な進め方を学ぶためには、
安宅和人氏の『イシューからはじめよ』がオススメだ。

 

就活生の皆さんの参考になれば幸いです。