理系研究者のしごとメモ

研究者の仕事や日常の一コマを綴ります。

血液脳関門〜脳を守る門について〜

血液脳関門ってなに?

血液脳関門、英語ではblood-brain barrier、略してBBBについて、お話しします。

血液脳関門は血中の物質を選別して脳にいく物質を制限する機能のことです。
脳に余計なものが入らないように監視している門番のようなものです。
当然これは比喩なのですが、「門」という言葉がついているため、脳につづく血管の途中で、脳に進んでいい物質かどうか判別している、と勘違いされることもあるようです。

しかし、その実態は脳の毛細血管の内側に貼り付いている内皮細胞です。
ほとんどの毛細血管には小孔という小さな穴が空いていて、ここから物質のやり取りを行なっています。
これに対して脳の毛細血管には小孔がありません。血管の内側が細胞に覆われているのです。
この脳毛細血管内皮細胞を通すか、内皮細胞間のわずかな隙間をくぐり抜けるか、のどちらかでしか物質のやり取りができません。

通過できるのは糖質、アミノ酸、脂質、イオンなどです。
また、アルコール、カフェイン、ニコチン、覚醒剤など油に溶けやすい小さな物質もすり抜けてしまいます。
一方で大きな物質は通過できず、分子量の大きなタンパク質は通過できません

この血液脳関門のおかげで脳の環境が整備されている反面、薬を届けることが非常に難しいということも言えます。
脳の病気を治す困難さの理由の一つとなっているのです。

以上、血液脳関門についての説明でした。
非常にざっくりとした説明ですので、詳しくは参考文献などをご参照ください。

参考文献

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%25E8%25A1%2580%25E6%25B6%25B2%25E8%2584%25B3%25E9%2596%25A2%25E9%2596%2580

脳へ薬剤を送りこめ〜「脳関門」をどう突破するか(石田雅彦) - 個人 - Yahoo!ニュース

脳に有害な物は入り込まないの? | 看護roo![カンゴルー]